歯周病治療
- 麻酔
局所麻酔をしっかりと行い、痛みを感じないようにします。 - 歯ぐきの切開・剥離
歯ぐきの一部を切開し、歯を支える骨から一時的に剥離して、歯の根の表面や骨の状態を直接露出させます。 - 不良組織・歯石の除去
歯の根の表面にこびりついた歯石や、炎症を起こして破壊された歯周組織(不良肉芽組織)を徹底的に除去します。
この際、当院の歯科用CTで診断した根分岐部などの病変も確認し、丁寧に処置を行います。 - 骨の整形(必要な場合)
骨の形が不規則になっている場合、歯周病の進行を抑えるために骨を削って整えることがあります。 - 歯ぐきの縫合
治療部位を清潔にした後、剥離した歯ぐきを元の位置に戻し、縫合します。 - 適応症の診断
リグロス®は、骨の欠損の形態など、特定の条件を満たす場合に効果を発揮します。
術前にCTなどを用いて、適応症であるかを慎重に診断します。 - フラップ手術
まず、上記で説明したフラップ手術と同様に、歯ぐきを切開・剥離し、病変部を露出させます。 - 薬の塗布
歯の根の表面を清掃した後、骨が失われた部分にリグロス®を塗布します。 - 歯ぐきの縫合
歯ぐきを元の位置に戻し、縫合します。 - 適応症の診断
GTR法も、骨の欠損の形態によって効果が大きく変わるため、CTなどで精密な診断を行い、適応症であるかを判断します。 - フラップ手術
フラップ手術と同様に、歯ぐきを切開・剥離し、病変部を露出させます。 - 不良組織・歯石の除去
徹底的に歯石や炎症を起こした組織を除去し、骨の表面を清掃します。 - メンブレンの設置
歯の根の表面と歯ぐきの間に、特殊な生体適合性のある膜(メンブレン)を設置します。
この膜は、歯周組織が再生するスペースを確保し、歯ぐきの細胞が先に侵入して再生を阻害するのを防ぐ役割を果たします。 - 歯ぐきの縫合
歯ぐきを元の位置に戻し、縫合します。

「歯ぐきから血が出る…」
「口臭が気になる…」
「歯がグラグラする…」
もし、このような症状に心当たりがあるなら、それは歯周病かもしれません。
歯周病は、日本人の成人の約8割がかかっていると言われるほど身近な病気ですが、その恐ろしさはあまり知られていません。
進行すると歯が抜け落ちてしまうだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼすことがわかっています。
「まだ大丈夫だろう」と放置していると、取り返しのつかない事態になることもあります。
歯周病は適切な診断と治療で進行を食い止め、健康な状態を取り戻すことが可能です。
当院では、患者様一人ひとりの歯周組織の状態を正確に把握し、効果的かつ体に負担の少ない歯周病治療を提供しています。
コーナス歯科クリニックで行う歯周病治療
「CTによる精密診断」:見えない病変も見つけ出す

歯周病治療において最も大切なことは、現在の歯周組織の状態を正確に把握することです。
どんなに優れた治療法も、診断が不正確であれば効果は半減してしまいます。
当院では、従来のレントゲンでは見えにくい歯周組織の状態を、歯科用CTを用いて立体的に解析し、精密な診断を行っています。
歯科用CTとは?
歯科用CTは、X線を使ってお口の中を3次元(立体)で撮影できる装置です。
従来のレントゲン写真では平面的な情報しか得られず、骨の内部や歯周ポケットの深さ、根の形などを正確に把握することが困難でした。
ですが、歯科用CTを使用することで、以下の情報が詳細にわかるようになります。
歯を支える骨(歯槽骨)の吸収度合い
骨がどの程度溶けているか、その範囲や深さを立体的に確認できます。
これにより、歯周病の進行度をより正確に判断できます。
歯周ポケットの深さ
歯周ポケットの形や深さを立体的に捉えることで、病変の広がりを把握し、効果的な治療計画を立てることができます。
根分岐部(歯の根の分かれ目)の病変
奥歯など、複数の根を持つ歯では、根の分かれ目(根分岐部)に歯周病が進行しやすい特徴があります。
通常のレントゲンでは見えにくい根分岐部の病変も、CTによって詳細に診断することが可能です。
この部分の病変は治療が難しいため、早期に発見し適切なアプローチを検討することが重要です。
膿の袋(歯周膿瘍)の位置や大きさ
骨の中にできた膿の袋も立体的に把握でき、適切な処置を行うための情報を得られます。
残っている骨の量や質
歯周外科治療や、将来的にインプラント治療を検討する場合にも、骨の状態を正確に把握できます。
最新の「レーザー治療」で負担の少ない歯周病治療

「歯周病治療って痛いの?」
「削るのが怖い…」
そうお考えの患者様もいらっしゃるかもしれません。
当院では、患者様の負担を最小限に抑えながら、効果的な歯周病治療を行うために歯科用レーザーを積極的に活用しています。
歯科用レーザーとは?
歯科用レーザーは、特定の波長の光を利用して、歯周組織の殺菌や炎症の鎮静、組織の活性化などを促す治療法です。
様々な種類のレーザーがありますが、当院では歯周病治療に効果的なレーザーを導入しています。
レーザー治療の具体的な応用例
歯周ポケット内の殺菌
歯周ポケット内の深い部分にレーザーを照射し、歯周病菌を殺菌します。
歯ぐきの炎症緩和
炎症を起こしている歯ぐきにレーザーを照射することで、炎症を抑え、腫れや痛みを和らげます。
歯周外科手術時の補助
歯周外科手術を行う際に、術野の殺菌や止血、治癒促進に役立てます。
歯周病治療の流れと具体的な治療法
当院では、患者様のお口の状態や歯周病の進行度に合わせて、最適な治療計画を立案し、様々なアプローチを組み合わせて歯周病の改善を目指します。
精密検査と診断

まずは、患者様のお口の状態を詳しく検査します。
これらの検査結果に基づき、患者様のお口の状態、歯周病の進行度、ライフスタイルなどを考慮し、最適な治療計画をご提案します。
視診・触診
歯ぐきの色や腫れ、出血の有無などを確認します。
歯周ポケット測定
歯と歯ぐきの境目の溝(歯周ポケット)の深さを測定し、歯周病の進行度を評価します。
レントゲン撮影・歯科用CT撮影
歯を支える骨の状態や、根の周りの病変の有無を詳細に確認します。
特にCTを用いることで、歯周病が進行しやすい根分岐部の病変なども正確に診断します。
口腔内写真撮影
お口の中の現状を記録し、治療の経過を客観的に確認します。
歯周病の基本治療(初期治療)
歯周病治療の基本は、お口の中から歯周病菌の数を減らし、炎症を抑えることです。
ブラッシング指導(TBI:Tooth Brushing Instruction)

歯周病の原因のほとんどは、毎日の不十分な歯みがきによるプラークの蓄積です。
どんなに歯科医院で治療を受けても、ご自宅でのケアが適切でなければ、歯周病は再発してしまいます。
当院では、歯科医師や歯科衛生士が、患者様一人ひとりの歯並びや磨き癖に合わせた効果的なブラッシング方法を丁寧に指導します。
患者様ご自身が正しいセルフケアを習得し、実践していただくことが、歯周病治療の成功と再発予防の鍵となります。
正しい歯ブラシの選び方
歯周病の状態や歯並びに合わせた歯ブラシの選び方をお伝えします。
適切な歯ブラシの持ち方と動かし方
歯と歯ぐきの境目、歯と歯の間、奥歯の裏側など、磨き残しが多い部分を効率的に磨く方法を指導します。
デンタルフロスや歯間ブラシの使い方
歯ブラシだけでは届かない歯と歯の間のプラークを除去するために、デンタルフロスや歯間ブラシの正しい使い方を指導します。
歯磨き剤の選び方
歯周病予防に効果的な成分が配合された歯磨き剤についてもアドバイスします。
スケーリング&ルートプレーニング(SRP)

スケーリング&ルートプレーニングは、歯周病治療の基本中の基本となる処置です。
スケーリングとルートプレーニングを丁寧に行うことで、歯周ポケット内の細菌数を大幅に減らし、炎症を鎮め、歯ぐきが引き締まる効果が期待できます。
必要に応じて、麻酔を使用し、痛みなく処置を進めます。
スケーリング(歯石除去)
歯周病菌の温床となるプラークが硬く固まったものが歯石です。歯石は歯みがきでは除去できません。
スケーリングでは、スケーラーと呼ばれる専用の器具や超音波スケーラーを用いて、歯の表面や歯周ポケットの中に付着した歯石を徹底的に除去します。
ルートプレーニング(歯根面の滑沢化)
歯石が除去された後の歯の根の表面は、ザラザラしていて細菌が付着しやすい状態になっています。ルートプレーニングでは、このザラザラした根の表面を滑らかに研磨し、細菌の再付着を防ぎ、歯周組織の健康な再生を促します。
歯周外科治療(重度歯周炎のケース)
基本治療で改善が見られない場合や、歯周病が進行して歯周ポケットが深く、歯石が根の奥深くまで付着している場合には、歯周外科治療が必要になることがあります。
フラップ手術(FDP:Flap Debridement Procedure)

フラップ手術は、歯周ポケットの奥深くにある病変や歯石を直接目で確認し、除去するための手術です。
フラップ手術を行うことで、深い歯周ポケット内の感染源を徹底的に除去し、歯周組織の回復を促すことができます。
治療の手順
リグロス®(歯周組織再生療法)

リグロス®は、成長因子を利用した画期的な歯周組織再生療法です。
歯周病によって破壊された歯周組織(骨、歯根膜、セメント質)の再生を促す薬です。
リグロス®を塗布することで、骨の再生が促進され、歯が再びしっかりと骨に支えられるようになる可能性があります。
これにより、歯の動揺を抑え、歯を長持ちさせる効果が期待できます。
治療の手順
GTR法(Guided Tissue Regeneration:組織誘導再生法)

GTR法は、歯周病によって失われた歯周組織(骨、歯根膜、セメント質)を再生させるための手術方法です。
特殊な膜(メンブレン)を使用して、歯周組織の再生を誘導します。
GTR法によって、歯周病で失われた歯を支える骨や歯根膜などの組織が再生され、歯の安定性が向上する可能性があります。
リグロス®とGTR法は、失われた組織を「再生」させるための画期的な治療法であり、患者様のお口の状況に合わせて最適な方法をご提案します。
治療の手順
メンテナンス(定期検診)

歯周病は、一度治療しても再発しやすい病気です。
治療後の良い状態を維持するためには、定期的なメンテナンス(定期検診)が非常に重要です。
定期的なメンテナンスによって、歯周病の再発を早期に発見し、適切な処置を行うことで、健康な歯と歯ぐきの状態を長く維持することができます。
当院では、患者様一人ひとりに合わせたメンテナンスプログラムをご提案し、長期にわたるお口の健康をサポートいたします。
プロフェッショナルクリーニング
ご自宅での歯みがきでは取り除けないプラークや歯石を、歯科衛生士が専門的な器具を使って徹底的に除去します。
歯周ポケットのチェック
歯周病の再発がないか、歯周ポケットの深さを定期的に測定し、状態を確認します。
ブラッシング指導の見直し
必要に応じて、ブラッシング方法の再指導やアドバイスを行います。
咬み合わせのチェック
咬み合わせの不具合が歯周病を悪化させる原因になることもあるため、定期的にチェックします。
フッ素塗布
虫歯予防のためにフッ素塗布を行うこともあります。