予防歯科
- 妊娠する前に歯科治療を終えておき、妊娠中はできれば避けたいのはもちろんですが、やもうえず治療を受ける場合は、必ず妊娠中であること、あるいは妊娠している可能性があることを主治医に話しておきましょう。
- 歯の治療に使う局所麻酔薬は、すぐに血液中で代謝されるため体内に蓄積されないので、大量に使用しなければ問題ありません。
- レントゲン撮影は必要最小限にしてもらい 、必要な部分だけの撮影にしてもらいましょう。
- 撮影の時は必ず防御服をつけてもらいましょう。
- 抜歯や手術は、できるだけ妊娠中期(3ヶ月から6ヶ月)にしてもらいましょう。
- 薬に関しては、安全性の確認されている薬を出来るだけ短期間の服用にしましょう。ビタミンAや睡眠薬など催奇性があるという報告もあります。
抗生剤や鎮痛剤のほとんどは短期間であれば問題ありませんが、テトラサイクリン系の抗生剤を服用していると胎児の歯の色が茶褐色になります。
年代別の予防管理
出生前期
子供の歯のために

赤ちゃんの歯は妊娠7週の頃に既にでき始めています。
だから、妊娠中のお母さんは、十分な栄養をとる必要があります
妊娠中の治療について

テトラサイクリン着色歯
歯が生える前(出生後から6ヶ月ごろ)

乳歯は、生後6ヶ月頃から下の前歯が生えてきます。
その少し前から離乳食を開始し歯で物をかむ準備をします。
このころより指しゃぶりの習慣を防ぐため、おしゃぶりを与えましょう。
指しゃぶりは、歯並びが悪くなる原因となります。
開口症

指しゃぶりが原因で、口を閉じても前歯がかみ合わない状態になります。

歯が生える前は歯ぐきがむずがゆくなるため歯固めを与えましょう。
歯ブラシの習慣をつけさすのにも役立ちます。
先天性歯

出生時あるいは生後1ヶ月以内に萌出する歯をいい、舌の裏に潰瘍が出来たり、哺乳時に母親の乳房を損傷することがあります。
過剰な歯の場合が多く、この場合は抜歯します。正常な乳歯の場合はかどを丸めたりします。
上皮真珠

乳歯の萌出前に歯肉に真珠の様な黄白色の隆起が出現することがあります。歯が萌出すると自然に消失します。
乳歯萌出期(6ヶ月から2歳ごろ)
乳歯の萌出順序

上顎 | 下顎 | |
乳中切歯 | 8-11ヶ月 | 6-8ヶ月 |
乳側切歯 | 10-11ヶ月 | 11-13ヶ月 |
乳犬歯 | 1歳8ヶ月 | 1歳8ヶ月 |
第一乳臼歯 | 1歳6ヶ月 | 1歳7ヶ月 |
第二乳臼歯 | 2歳 | 2歳 |
乳歯の磨き方
歯が萌出したらブラッシング開始。
子供が一人で上手にブラッシングできるようになるのは8-9歳。
それまでは虫歯予防のための母親みがきが重要。
磨き方
歯肉もまだ弱く、歯もしっかりしていないので、ゴシゴシではなく優しくなでるように歯の表面に毛先を当てて動かす。
母親の指で唇や舌をよけ、歯ブラシが歯に当たっていることを確認しながらブラッシング。
子供の頭を母親の膝にのせると磨きやすい。
乳歯用歯ブラシ

生えてきたばかりの乳歯はまだ柔らかいので専用のゴム製の歯ブラシを使うと良いです。
乳歯列期(2歳から6歳ごろ)

自立心の発達とともに自分でブラッシングすることも大切。
仕上げ磨きはお母さん。お母さんのひざの上に寝かせて磨いてあげると、奥まで目で確認しながらしっかり磨くことが出来ます。
シールなどを作って楽しく歯磨きのできる環境作りも大切です。
このころ注意する事

上唇小帯が長くて歯槽頂付近まであるとすきっ歯になるため早いうちに切除する必要があります。

舌小帯が長いと舌の運動障害がおこり発音障害がおこるため2ー3歳の頃までに切除する必要があります。
永久歯萌出期(6歳から15歳ごろ)
永久歯の萌出順序

永久歯は六歳の頃まず、乳歯の後ろから第一大臼歯が生え続いて、前歯から乳歯が脱落し永久歯に生え変わり13歳頃までに永久歯に生え変わります。
虫歯などによって乳歯が早く無くなったり、乳歯がいつまでも抜けなかったりして、乳歯から永久歯にスムーズに交換されないと永久歯の歯並びが悪くなることがあります。
上顎 | 下顎 | |
中切歯 | 7-8歳 | 6-7歳 |
側切歯 | 8-9歳 | 7-8歳 |
犬歯 | 10-12歳 | 9-11歳 |
第一小臼歯 | 9-10歳 | 9-10歳 |
第二小臼歯 | 10-12歳 | 10-12歳 |
第一大臼歯 | 6-7歳 | 5-7歳 |
第二大臼歯 | 11-13歳 | 11-13歳 |

歯が生えるスペースが不足したため最後に生える歯がずれてしまいます。

上顎では犬歯が最後に生えるため八重歯になりやすいです。

乳歯がいつまでも抜けずに残っていると永久歯がずれて生えてきてしまいます。
この頃の歯のみがき方

歯の咬合面
横みがき法
歯ブラシを咬合面に垂直にあて、前後に動かします。

歯の表面
フォーンズ法
上の歯と下の歯を軽く咬ませたまま、大きく円を描くように動かします。
シーラント
生えてきたばかりの歯は溝が深く虫歯になりやすいため、その溝を埋めてしまう予防法です。
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埋伏過剰歯

過剰歯があるとすきっ歯になります。
永久歯列完成後(15歳以降)
この頃の歯のみがき方

歯の咬合面
横みがき法
歯ブラシを咬合面に垂直にあて、前後に動かします。

歯の表面
スクラッピング法
歯面に垂直にあて、水平方向に細かく振動させる。

歯周病予防のための歯のみがき方
バス法
歯ブラシを45度の角度で、歯と歯肉の境目に毛先をいれ、水平方向に細かく振動させます。
親知らずに対する注意

親知らず(第三大臼歯)は一番最後に生えてくるため、生えてくるスペースが少なく斜めに生えてきたり、骨に埋まったまま出てこなっかたりします。そのため、よく腫れたり痛んだりします。
顎関節症

顎の関節はかみ合わせによって位置が変わってきます。
したがってこのかみ合わせがずれることによって、口が開かない、口を開けると痛い、カクカク音がするなどの障害が出てきます。
妊婦

妊娠中はホルモンなどの関係から歯肉が腫れやすい状態になっており、唾液が酸性に傾くことによって虫歯になり易くなっています。
また「つわり」のため歯ブラシを口の奥まで入れるのがつらくなり、口の中が不潔になり、よけいに歯肉炎や虫歯になり易くなっています。
妊娠中は今まで以上によく歯ブラシをする必要があります。
妊娠性歯肉炎

妊娠中に起きる歯肉炎で、ホルモンの関係によるものと考えられています。
歯垢や歯石を除去することによって良くなりますが、中には出産するまで直らない場合もあります。
妊娠性エプーリス

歯肉に出来る腫瘤で除去してもまた出来てくる事がありますが、出産が終わると自然に消失します。
基本的な歯磨きの仕方
歯ブラシの使い方
毛先を使い分けましょう
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歯面を分けてみがきましょう
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その他の清掃用具
歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れは取れないので、デンタルフロスや歯間ブラシなどを併用しましょう。

デンタルフロス
両手の指に巻き付けて歯と歯の間に入れて汚れをとります。

フロスホルダー
指に巻き付ける代わりにホルダーを使うと楽です。

歯間ブラシ
歯と歯の間のすき間が広い所やブリッジの下などに使います。
電動ブラシ
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歯垢染め出し剤
歯垢染め出し液を使って、きちんと汚れがとれているか確認しましょう

歯みがきが終わり一見したところきれいに見えます

歯垢染め出し液を歯に塗ってみましょう

赤く染まっているのが歯垢です、まだこんなに残っています

もう一度ブラッシングして、まだ残っている歯垢を取りましょう。

もう一度染めてみましょう。染まらなければOKです。